短期業務パッケージ
（アカデミア限定：Cre/floxマウス系統作製パッケージ）

• 弊社JAX^® マウス11系統のいずれかと、お客様が所有するfloxマウスもしくはCreドライバーマウスとの掛け合わせ系統を、迅速に作製・供給いたします。
• 弊社日本施設に保管するJAX^®マウスの凍結精子を利用するため、輸入にかかる期間および費用が削減できます（1ヶ月～最大5.5ヶ月程度の削減）。
• 本パッケージでは凍結精子を用いた体外受精、およびその胚移植によって個体作製を行うため、当該系統を同時にクリーン化することが可能です。

1. Cre-loxPシステム

CreリコンビナーゼはバクテリオファージP1に由来する遺伝子組換え酵素であり、loxP配列を認識し遺伝子組換えを誘導します。CreドライバーマウスとloxPで挟まれたDNA領域をもつflox（flanked by loxP）マウスを交配させることで、loxP配列で囲まれたゲノム領域を欠損させることができます。

2. タモキシフェン誘導型Cre

変異型エストロゲン受容体の融合により作られた改変型Creリコンビナーゼです。単独では細胞質に局在しますが、タモキシフェンの投与により、核内に移行し遺伝子組換えを誘導します。これにより、特定の発生/発達段階において、組織特異的な組換えの誘導を可能とします。

3. Creレポーターマウス

Creとの交配により、遺伝子組み換えが起きた事をレポーター発現により視覚的に確認できるマウスです。Creレポーターの使用は、Cre/loxP組換えシステムを用いた実験成功の鍵です。新しいCreドライバーを導入される際は、必ず一度はご自身でCreレポーターマウスとの交配、およびレポーターの発現確認を頂きますようお願いいたします。

Creドライバーマウス：

• #003574   B6.Cg-Speer6-ps1Tg^{(Alb-cre)21Mgn}/J   
  通称：Albumin-Cre

  肝臓でCreを発現するCreドライバーマウスです [1] 。Cre/loxP組換えシステムを用いた肝臓特異的な遺伝子操作が可能です。

• #008875   B6.129P2-Lgr5^{tm1(cre/ERT2)Cle}/J
  通称：Lgr5-EGFP-IRES-CreERT2

  Lgr5陽性の腸管上皮幹細胞でタモキシフェン誘導型CreERT2およびEGFPを発現する、Creドライバーマウスです [2] 。ノックインにより内在性Lgr5遺伝子の機能が失われているため、ホモマウスが致死となる点はご注意ください。

• #006054   B6.C-Tg(CMV-cre)1Cgn/J
  通称：CMV-Cre

  生殖細胞を含む全身でCreを発現するCreドライバーマウスです [3] 。※ 本アレルはX染色体上に乗っております。

• #008463   B6.129-Gt(ROSA)26Sor^{tm1(cre/ERT2)Tyj}/J
  通称：R26R-CreERT2

  生殖細胞を含む全身でタモキシフェン誘導型CreERT2を発現するCreドライバーマウスです [4] 。※本アレルは第６染色体・Rosa26遺伝子座に乗っております。

• #012601   B6;129P2-Lyve1^{tm1.1(EGFP/cre)Cys}/J

  通称：Lyve1-EGFP-Cre

  リンパ管内皮でCreおよびEGFPを発現するCreドライバーマウスです [5] 。リンパ管の可視化や、Cre/loxP組換えシステムを利用したリンパ管発生/新生機序の解明、および機能解析に有用な系統です。

• #005359   B6.Cg-Tg(Camk2a-cre)T29-1Stl/J
  通称：T29-1またはCaMKIIα-Cre

  大脳皮質や海馬をはじめとした、様々な神経細胞でCreを発現するCreドライバーマウスです [6] 。Cre/loxP組換えシステムを利用した、神経細胞での遺伝子操作が可能です。発表以来、世界中の神経科学者に広く使われている系統です。

• #020940   B6.129P2(C)-Cx3cr1^{tm2.1(cre/ERT2)Jung}/J
  通称：Cxcr3-CreERT2

  単球やマクロファージ、そしてミクログリアを含む食細胞でタモキシフェン誘導型CreERT2を発現するCreドライバーマウスです [7] 。ノックインにより内在性のCx3cr1遺伝子発現が失われておりますが、ホモマウスは生存可能かつ妊性があります。

• #025750   STOCK Tg(ACTA1-cre/Esr1*)2Kesr/J
  通称：ACTA1-CreEsr1

  骨格筋でタモキシフェン誘導型CreEsr1を発現するCreドライバーマウスです [8] 。Cre/loxP組換えシステムを利用した、骨格筋特異的な遺伝子操作が可能です。※STOCK系統

• #008610   B6.Cg-Commd10^{Tg(Vav1-icre)A2Kio}/J
  通称：Vav1-iCre

  造血系細胞およびその前駆細胞で改良型Cre (iCre)を発現するCreドライバーマウスです [9] 。Cre/loxP組換えシステムを利用した造血系細胞の遺伝子操作、およびこれら細胞の他家移植に有用です。※本系統のご使用を検討される場合、ask@jax.or.jpまで事前に相談ください。

• #029155   B6N.129S6(Cg)-Krt5^{tm1.1(cre/ERT2)Blh}/J
  通称：Krt5-CreERT2

  Krt5陽性の各種上皮基底細胞でタモキシフェン誘導型CreERT2を発現するCreドライバーマウスです [10] 。本系統は皮膚、気道、消化管を含むKRT5陽性の上皮の研究に役立つだけでなく、KRT5をバイオマーカーとする乳がんや肺がんなどの各種上皮系がんの研究にも有用です。

Creレポーターマウス：

• #007914   B6.Cg-Gt(ROSA)26Sor^{tm14(CAG-tdTomato)Hze}/J
  通称：R26R-CAG-lsl-tdTomato、Ai14

  Creドライバーマウスとの交配により、Creによる遺伝子組換えにより強い赤色蛍光色素tdTomatoを発現するCreレポーター系統です。CAGプロモーターによって駆動されるtdTomatoの発現が、Cre非存在下ではLSL (loxP-STOP-loxP)カセットにより妨げられております [11] 。本系統Ai14は、世界中で最もよく使われているCreレポーターの１つです。

  ※本マウスのご利用を検討頂く場合は、 個体復元パッケージ に追加料金10万円（税抜）でお使い頂けます。 詳細につきましては、お問合せください。

References

　[1] Postic et al., J. Biol. Chem. 1999 ( PMID: 9867845 )
　[2] Barker et al., Nature 2007 ( PMID: 17934449 )
　[3] Schwenk and Rajewsky, Nucleic Acids Res. 1995 ( PMID: 8559668 )
　[4] Ventura et al., Nature 2007 ( PMID: 17251932 )
　[5] Pham et al., J. Exp. Med. 2010 ( PMID: 20026661 )
　[6] Tsien et al., Cell. 1996 ( PMID: 8980237 )
　[7] Yona et al., Immunity. 2013 ( PMID: 23273845 )
　[8] McCarthy et al., Skelet Muscle. 2012 ( PMID: 22564549 )
　[9] Boet et al., Eur J. Immunol. 2003 ( PMID: 12548562 )
　[10] Keymeulen et al., Nature 2011 ( PMID: 21983963 )
　[11] Madisen et al., Nat Neurosci. 2010 ( PMID: 20023653 )

① Cre/floxマウス系統作製パッケージ（5ペア程度作製）

　基本価格 ： 160万円（税別）^*1
　Genotyping解析追加 ： 30万円（税別）^*2

　業務期間 ： 25週間（約6ヶ月）
　ご提供いただくマウスfloxマウス ^*3： ヘミ/ヘテロの場合：♂２匹 ♀１２匹
                                                          　 ： ホモの場合 ：♂２匹 ♀８匹
　弊社よりご用意するマウス ： 上記11系統から１系統お選びいただく
　成果物 ： Creおよびfloxアレルを併せ持つマウス、交配5ペア程度 ^*4

*1 獲得産仔のGenotypingサンプル採材費用はパッケージ中に含まれます。
*2 Genotypingありの場合、解析上限は1世代あたり96解析です。プロトコルは事前にご提供ください。
アッセイ法はStandard PCRを想定しており、新規作製には対応しておりません。
*3 提供いただくマウスの遺伝型がホモ、ヘテロ（ヘミ）いずれの場合でも対応可能です。24週齢までの個体が望ましいです。匹数が足りない場合、ご相談ください。十分数の動物数確保が難しい場合、「② Flox事前拡大パッケージ（オプション）」のご利用をお願いいたします。
*4 成果物として納品する交配ペアの遺伝型は、次の2通りとなります：
      (i) Cre ヘミ (+/-)、 floxホモ (flox/flox) 　(ii) Cre野生型 (-/-)、 floxホモ (flox/flox)

② Floxマウス事前拡大パッケージ（Cre/floxマウス作製オプション）

    基本価格  ： 80万円（税別）^*5
    Genotyping解析追加  ： 15万円（税別）^*6

　業務期間 ： 13週間（約３か月）
　ご提供いただくマウス  ： foxアレルを持つ♂マウス2匹 ^*7
　弊社よりご用意するマウス ： C57BL/6J もしくは C57BL/6NJ ^*8
　成果物 ： floxアレルを持つマウス♂２匹 ♀１２匹 ^*9

*5 獲得産仔のGenotypingサンプル採材費用はパッケージ中に含まれます。
*6 Genotypingありの場合、解析上限は1世代あたり96解析です。プロトコルは事前にご提供ください。
アッセイ法はStandard PCRを想定しており、新規作製には対応しておりません。
*7 提供いただくマウスの遺伝型がホモ、ヘテロ（ヘミ）いずれの場合でも対応可能です。ホモをご提供いただける場合、より多くの成果物のご提供が可能です。24週齢までの個体が望ましいです。
*8 本パッケージはこの2系統のみを想定しております。他の系統の使用をご検討される場合は、カスタムブリーディングサービスをご利用ください。
*9 本パッケージは、「① Cre/loxPマウス系統作製パッケージ」との併用を前提としております。単体でのご利用はお受けしかねます旨、ご了承ください。

＜手順概要＞

1. お客様がお持ちのfloxマウスを、生体にて弊社までお送り頂きます。
2. お送りいただいた雌マウスを受領後、弊社にて過剰排卵処置（PMSG-hCG法）を行います。
3. 過剰排卵処置を行った雌マウスから卵子を回収します。
4. 回収した卵子と弊社にて保存している凍結精子を用いて体外受精を行い、受精卵を作製します。
5. 作製した受精卵を偽妊娠マウス（仮親）の卵管に胚移植し、個体復元します。
6. 仮親で微生物モニタリング試験を実施し、動物がSPF状態であることを確認いたします。
7. 得られた産仔から遺伝型解析用の耳介組織を採取し、お客様に送付いたします^*10。
8. 遺伝子解析結果にもとづいて、Creおよびfloxアレルを併せ持つマウスの交配ペアを納品します^*11。

*10 解析ありの場合、獲得産仔の遺伝型解析用サンプルの採材費用は、パッケージ中に含まれます。解析数上限は1世代あたり96解析（2遺伝子の場合48匹分）です。Genotypingプロトコルは事前にご提供ください。Genotypingアッセイ法は、Standard PCRを想定しております。アッセイ系の新規作成はお受けしかねます。
*11 floxホモ動物（遺伝型Creヘミ[+/-] floxホモ[flox/flox]）が十分数確保できなかった場合は、floxヘテロ動物（遺伝型：Creヘミ[+/-] floxヘテロ[flox/-]）の納品をご相談させて頂く場合がございます。

• 本サービスの価格は全て、当該作業費用および動物/試料の輸送費を含んでおります。（沖縄、一部離島を除く）
• 得られる産仔数として本パッケージで想定している匹数は、C57BL/6J（B6J）マウスを用いた弊社での過去の実績に基づいて算出しております。
• 胚操作・胚移植後に得られる産仔数は系統を含めた生物学的条件により変動する場合がございます。本パッケージで得られる産仔の想定匹数・試料数について保証は致しかねます旨、ご了承ください。
• パッケージ中で実施する微生物モニタリング検査項目は、別途、弊社微生物モニタリング検査サービス資料をご参照ください。
• 各パッケージの組み合わせや、定期供給への利用は原則ご遠慮いただいています。