がん免疫分野の有効性試験用のヒト化NSGマウスの進歩
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By Grace Berryhill, PhD
ヒトの免疫系とがん細胞の間の相互作用を調節するように機能する新規治療薬を評価するには、高度な前臨床有効性試験プラットフォームが必要です。免疫学的にヒト化されたNSGTMマウスとその変異系統は、幅広いがん免疫治療薬候補の最先端のin vivo前臨床試験を容易にする強力なシステムです。
NSGTMとヒト免疫細胞を移植して新たに作製された変異系統を利用することで、より目的に即した実験、ヒト生物学に特化した実験を計画することが可能になります。JAXの専門家が、お客様のニーズに最適なプラットフォームの選択のお手伝いをします。
腫瘍に対して免疫系を活性化するがん治療薬は、がん治療の有望な戦略です。これらの新しい治療法を前進させるには、有効性をテストし、トランスレーショナル研究にとって重要なデータを提供するために特化した前臨床モデルが不可欠です。たとえば、ヒトの腫瘍とヒトの免疫細胞をNSGTM(NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ、JAX Stock# 005557 )およびその 変異系統 に共移植すると、ヒトに使用する実験的治療の免疫調節効果を前臨床試験で調査するための強力なシステムを作成することができます。
JAXの研究者は最近、PD-1阻害剤ペムブロリズマブを使用したこの種の治療法を実証しました。肺がん、肉腫、膀胱がん、乳がんの患者由来の異種移植片、ならびに乳がん細胞株をCD34+造血幹細胞(HSC)ヒト化NSGTMマウスに共移植したところ、これらにおける腫瘍増殖を抑制することができました(Wang et al., 2018)。ペムブロリズマブに対する反応はHSCドナーに応じて異なり、このような研究では全群にわたって複数のHSCドナーを使用することの重要性が強調されています(Wang et al., 2018)。別の実験では、ヒト黒色腫細胞株SK-MEL-5を共移植したCD34+HSC移植NSGTMマウスに共刺激分子GITRに対する抗体を投与したところ、腫瘍増殖が抑制され、腫瘍内制御性T細胞数が減少すると同時に、CD8+T細胞の活性化が増加しました。これは、同種モデルシステムで観察された結果と同様でした(Mahne et al., 2017)。
ヒト化NSGTMは、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)と二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)の両方を使用して抗腫瘍T細胞活性を評価するための貴重なプラットフォームであることも証明されています。Dr. Jinらによる研究では、CD70 CAR-T細胞がIL-8の受容体を発現し、腫瘍内のT細胞遊走を促進するように改変されました。これは、腫瘍組織でこのケモカインの発現が増加し、放射線によって刺激される可能性があるためです。これらのCAR-T細胞を、U87神経膠腫細胞を保有するNRG(NOD.Cg-Rag1tm1Mom Il2rgtm1Wjl/SzJ JAX Stock# 007799 )もしくはNSG-B2m(NOD.Cg-B2mtm1Unc Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ, JAX Stock# 010636 )、局所放射線照射後のPANC-1膵臓腫瘍細胞またはSK-OV-3卵巣腫瘍細胞に投与しました(Jin et al., 2019)。 投与を受けたマウスでは、CAR-Tの腫瘍内遊走が増加し、腫瘍量が減少しました(Jin et al., 2019)。
別の研究では、細胞内腫瘍マーカーWT1を発現することが知られている血液がん細胞を移植したNSGTMマウスでBiTEの有効性が評価されました。この腫瘍マーカーのエピトープはMHC I分子HLA-A2と関連して細胞表面に発現します(Dao et al.、2017)。Dr. Daoらは、腫瘍によって示されるWT1およびヒトT細胞上のCD3に対するBiTEの有効性を実証しました。興味深いことに、著者らは移植片対宿主病の合併症を予防するためにエプスタイン・バーウイルス特異的なヒトT細胞集団を開発し、使用しました(Dao et al., 2015)。
JAXは現在、この種の研究でヒトPBMCを使用する場合に急性GvHDを防ぐためのシンプルな手段を提供しています。マウスMHC IおよびMHC IIにヌル変異を含むNSGTMの新しい変異系統(NOD.Cg-Prkdcscid H2-Ab1em1Mvw H2-K1tm1Bpe H2-D1tm1Bpe Il2rgtm1Wjl/SzJ, JAX Stock# 025216 )は、ヒトPBMC移植後のGvHDを大幅に遅延させ、減少させました(Brehm et al.、2019)。このプラットフォームは、はるかに長い研究期間を可能にし、研究による合併症を大幅に減少させることで、成熟ヒトT細胞を必要とするがん免疫研究に大きな利点をもたらします。このモデルシステムは、前臨床CAR-Tの有効性研究でも活用することができ、より長期間の研究とより明確な結果をもたらします。
ジャクソン研究所の In Vivo Services は、研究と創薬を推進するためにすぐに使用できる ヒト化マウス の提供に加え、CD34+HSC およびPBMCヒト化NSGTMならびにNSGTM変異系統を使用した がん有効性 試験サービスを提供しています。CAR-TおよびBiTEを候補物質として検討する前臨床試験のニーズについては、 当社のチームにご相談ください 。
参考文献
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英語原文: Advancing Humanized NSGTM Mice for Immuno-Oncology Efficacy (jax.org)