JAXフェローシップは膀胱機能と老化に関する研究を後押しします
Press Release

By Lisa Nichols

カーラ・ハーディー(左)とロン・コルスタンジェ(右)
コルスタンジェの研究室にてビバリー&ケン・ペイゲンの写真とともに
写真提供:ティファニー・ローファー

初代ペイゲン・フェローのDr. Cara Hardy(カーラ・ハーディー)は、膀胱と脳の関係を研究し、ジャクソン研究所(JAX)の指導プログラムに参加しています。

Dr.カーラ・ハーディー が、老化した膀胱の生理学について講演を始めた当初、彼女は驚きました。非常に多くの人が彼女のところにきて、彼女の研究に対して感謝の気持ちを表したからです。当時、膀胱機能に関する話題は、まだ社会的にはタブーなトピックと思われていました。

彼女は、人々が膀胱機能不全に悩んでいる様子について語りました。「人々は私の側に寄って来て『私が経験していることは普通ではないということを知りませんでした』と言いました。この問題は、非常に多くの人たちに影響を及ぼしているにもかかわらず、他の健康問題ほどオープンに議論されていないのです。この問題を解明しようと努力すること自体が、有意義な変化をもたらすと思います。」

Dr. Ron Korstanje(ロン・コルスタンジェ) の JAX 研究室の博士研究員としてDr.ハーディーは、泌尿生理学を研究しています。年月が経過しても一部の人の膀胱は正常に機能しているのに、他の人の膀胱は正常に機能しない理由を理解しようとしています。彼女は、患者が後年に膀胱の問題を発症する可能性を予測するのに役立つ遺伝子マーカーを見つけたいと考えています。

彼女の研究的興味は、腎機能と疾患の遺伝的特徴に関するDr.コルスタンジェの研究を理想的に補完するものです。腎臓と膀胱は人間の泌尿器系で近い臓器ですが、これらを一緒に研究した科学者はほとんどいません。Dr.ハーディーが研究室に加わったことにより、JAX は生物医学研究の広範な分野に足がかりを得ることができました。

「カーラは研究室に素晴らしいエネルギーをもたらしています」とDr.コルスタンジェは語っています。「遺伝学研究者に囲まれた環境で、彼女は生理学者として、異なる視点でこの分野にアプローチし、新しいアイデアをもたらしています。特に老化という観点で、腎臓と膀胱の関係を研究している人は他にいません。私たちの研究チームに彼女がいることは、新しい発見をするまたとない機会を与えてくれています。」

Dr.ハーディーは、故Dr. Kenneth Paigen(ケネス・ペイゲン)と故Dr. Beverly Paigen(ビバリー・ペイゲン)を讃えるために設立された Paigen Endowed Fellowship の最初の受給者です。Dr.ケネス・ペイゲンとDr.ビバリー・ペイゲンは、JAXの元研究員であり、ジャクソン研究所の歴史における重要な人物です。ケネスは1989年から2003年までDirector (現在の社長兼CEOの職) を務め、ビバリーは1989年から2020年までJAXのProfessorを務めました。

Dr.ビバリー・ペイゲンは、Dr.コルスタンジェがJAXで博士研究員として在職していた時の指導者でもありました。彼らは良き友人となり、2013年にDr.コルスタンジェが当時の職を引き受けたとき、最終的には同僚となりました。Dr.コルスタンジェがその職を引き受けた時、ペイゲン研究室がコルスタンジェ研究室となったため、彼はJAXのバーハーバー施設で同じ研究室スペースを使用することになりました。

「べヴ(ビバリー)は私たちに探索する自由を与えてくれました」とDr.コルスタンジェは語っています。「彼女は私たちが自分の研究プロジェクトを進めるための時間とリソースを確保してくれたのです。彼女は私たちに論文の書き方や助成金の申請方法を教えてくれるなど、いつも素晴らしいアドバイスをくれました。私は、このノウハウを研修生達にも伝えていきたいと思っています。」

ジャクソン研究所のカーラ・ハーディー 写真提供:ティファニー・ローファー

膀胱と脳のつながりを見つける

Dr.ハーディーは、膀胱機能と認知機能低下との関係に特に興味を持っています。彼女の研究は、認知機能低下の発症が膀胱の特異的な表現型を生み出すことを示しており、これは膀胱機能不全の原因が、組織自体の老化ではなく、脳と膀胱のコミュニケーションの問題である可能性を示唆しています。

「病気と老化の違いを理解することにやりがいを感じています」とDr.ハーディーは言います。 「膀胱の機能は中枢神経系に大きく依存しています。すべての膀胱が老化して機能しなくなるわけではありません。問題は、それよりもはるかに複雑なことなのです。」

しかし、患者が臨床研究に参加するのが遅すぎて、膀胱の変化を追跡する機会がすでに過ぎてしまっていることがよくあると、彼女は言っています。彼女は、自身の研究により、医師が早い段階で尿力学的検査(水分に反応して無意識のうちに膀胱がどのように収縮したり弛緩したりするかを評価する検査)を実施するようになることを望んでいます。

「この診断検査を早く行うことが状況を改善するのだということを、自分の研究によって証明することを何よりも望んでいます。そうすれば、認知機能の問題が本格的に始まる前に、患者の希望、薬物療法、行動介入について検討する重要な対話を始めることができます。」と彼女は語っています。

英語原文: JAX fellowship boosts research into bladder function and aging

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