
マウス
JAX®Mice
Inbred
GSP
The Jackson Laboratoryから2002年に日本チャールス・リバー(現在のジャクソン・ラボラトリー・ジャパン)へ導入し、供給を開始しました。
ジャクソン・ラボラトリー・ジャパンから生産・供給されるJAX®Miceは、The Jackson LaboratoryのJAX®Miceです。遺伝学的に分岐した亜系統ではありません。本系統はGenetic Stability Programにて維持されています。
JAX®Mice C57BL/6J(JAX® Mice stock number:000664) のサイト情報
White Paper | マウスの研究において遺伝的浮動(genetic drift)を最小化し、実験の再現性を最大化するための戦略
毛色:Black
H2:b
規格:3週齢~、RETIRE、RETIRE, S、PREG、T, PREG、LACT
【系統の概要説明】
C57BL/6Jマウスは世界で最もよく用いられている近交系マウスであり、遺伝子改変マウスの背景系統としても広く用いられます。世界ではじめてマウスゲノム配列が決定された系統でもあり、マウスのリファレンスゲノムは本系統のゲノム配列に基づき作成されました。
【由来】
1921年C.C.LittleがMiss Abby Lathrop維持コロニーから見出し樹立したC57BL系統のうち、ライン6に由来する系統がC57BL/6として1948年にジャクソン研究所に導入されました。以降ジャクソン研究所にて維持された系統が本系統・C57BL/6Jです。本系統には2003年以降、厳格な遺伝的品質管理プログラム(GSP: Genetic Stability Program)が適用されております。これにより、遺伝的浮動の蓄積が最小限に抑えられ、C57BL/6Jを用いた研究の再現性向上に貢献しています。
【詳細】
C57BL/6Jマウスはさまざまな研究分野で標準的なマウス系統として使われており、疾患モデル作製や遺伝子改変マウスのベースとしても用いられる、研究の基盤となる系統です。本系統は比較的繁殖成績が良好であり、腫瘍の自然発生率が低く寿命も長いため、老化研究にも世界的に広く使われております。C57BL/6NJをはじめとするその他C57BL/6亜系統とは遺伝的に異なるため、明確な区別が必要です。以下C57BL/6Jの代表的な特徴および系統特性をご紹介します。
1. 代謝関連
● NntC57BL/6J
‐1976年から1984年の間に生じたNntエクソン7-11の欠損により、グルコース恒常性の調節異常やインスリン分泌低下が引き起こされる。
‐Nnt欠損はC57BL/6NJをはじめとするB6N系統では見られない。
● 食餌誘発性の疾患モデル
‐高脂肪食の摂取により、肥満、軽〜中程度の高血糖および高インスリン血症を発症する。
‐アテローム形成食摂取により、アテローム性動脈硬化病変が誘導される。
2. 神経・感覚系関連
● Cdh23ahl(age related hearing loss 1)
‐CDH23欠損により内耳有毛細胞の感覚毛の形成不全を呈する。
‐有毛細胞の変性が進行し、加齢に伴う進行性難聴を発症する。
●n-TRtct5m1J (n-Tr20C57BL/6J)
‐n-TRtct5 のC50T点突然変異により、リボソームのAGAコドンでの停止が増加し、シナプス伝達に変化をもたらす。
‐電気けいれん発作の閾値上昇により、比較的発作に抵抗性を示す。
● Gabra2C57BL/6J
‐Gabra2 のイントロン一塩基突然欠失変異により、脳におけるクロライドチャネル構成要素の転写産物およびタンパク質発現の低下をもたらす。
3. 形態的・生理的特徴
‐小眼球症およびその他の眼球異常の発生率が高い。
‐骨密度が比較的低い。
‐約5%の確率で門脈体循環シャントを呈する。
‐1~4%の確率で遺伝性の水頭症を発症する。
‐6~8ヵ月齢以降のオス個体の1%で踵骨脱臼が発生し、足根関節の強直性腱付着部炎を伴う。
‐メス個体の5%未満で膣隔壁がみられるが、繁殖への影響はない。
4. その他
‐過剰なグルーミングにより脱毛する傾向がある。
‐アルコールとモルヒネへの嗜好性が高い。
‐聴原発作に対し抵抗性を示す。
‐リステリア症に対して抵抗性を示す。
‐造血幹細胞の老化が比較的遅延する。
C57BL/6Jは代表的なC57BL/6系統ですが、亜系統毎に遺伝的特性や表現型に違いが見られます。系統特性を十分に理解した上で、研究・実験の目的に適した系統を適切に選定することが重要です。