一般名:BALB/cJ
系統名:BALB/cJ

マウス
JAX®Mice
Inbred

The Jackson Laboratoryから2022年にジャクソン・ラボラトリー・ジャパンへ導入し、2023年8月より国内生産供給を開始しました。

ジャクソン・ラボラトリー・ジャパンから生産・供給されるJAX®Miceは、The Jackson LaboratoryのJAX®Miceです。遺伝学的に分岐した亜系統ではありません。

毛色:Albino
H2:d
規格:3週齢~、RETIRE、RETIRE, S、PREG、LACT

JAX® Mice BALB/cJ (JAX® Mice stock number:000651) のサイト情報


系統の特徴

【系統の概要説明】

BALB/cJ は、一般的に使用される近交系です。重要な特徴として、タイラーマウス脳脊髄炎ウイルスに感染すると、脱髄性疾患を発症しやすいことが挙げられます。このBALB/cJの亜系統は、リステリア(Listeria)、全ての種類のリーシュマニア(Leishmania)、いくつかの種類のトリパノソーマ(Trypanosoma)に感受性がありますが、実験的アレルギー性精巣炎 (EAO) には耐性があります。

【由来】

この系統は、当初コールド・スプリング・ハーバー研究所でMacDowellによって維持されていたBALB系統から派生したBALB (Baggのアルビノ) の亜系統であり、最終的にテキサス大学のG.D. Snellに渡り、1932年にF26世代としてSnellによってジャクソン研究所にもたらされました。1937年から1939年の間に、SnellのBALB/cから3つに枝分かれされ、分離されたのが、Andervont (BALB/cAn)、Scott (BALB/cSc)、 Green (BALB/cGn) です。BALB/cScからの血統は、最終的に1941年にF41世代でBALB/cJになりました。

【詳細】

BALB/cマウスは、ミネラルオイルを注射すると、形質細胞腫を産生し、モノクローナル抗体産生の基礎を形成することで特によく知られています。すべてのBALB/c亜系統の形質細胞腫の誘発について調べられたわけではありませんが、Andervont(An)系統(BALB/cByJを含む)に由来する亜系統は、通常は感受性があり、BALB/cJ由来の亜系統には抵抗性があります (Potter M, 1985 を参照)。

乳腺腫瘍の発生率は通常は低いものの、MMTV+ C3Hマウスが育てることによって乳腺腫瘍ウイルスに感染すると、腫瘍の数と発症齢が劇的に増加します。 BALB/cマウスは、網状腫瘍、原発性肺腫瘍、腎腫瘍など、後年に他のがんを発症します。さまざまな外分泌腺の筋上皮細胞から稀に自然発生する筋上皮腫が、BALB/cJおよびBALB/cByJ亜系統の両方で観察されています。この系統は、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)に感染しやすく、雌では死亡までの中央値は3日であることが分かっています(Cheers and McKenzie, 1978)。ホワイトらは、分析された4系統において、チオグリコレート培地により誘導される腹腔内白血球リクルートメントの変動を報告しました。総白血球リクルートメント応答は、最大から最小まで、C57BL/6J > BALB/c > CD1 > 129X1/SvJの順でした。変動は、応答のタイムラインにも見られ、また最も影響を受けた細胞タイプにも見られました。PLP180-199で免疫化したBALB/cマウスは、非定型の実験的自己免疫性脳脊髄炎 (EAE) を発症しますが、その感受性は部位によって決まります。脊髄では60~70%のマウスが病理学的病変を発症し、脳および小脳では100%のマウスが重度の病変を発症します。

2022年の研究では、BALB/cJ雌の16%に膣中隔が見られました。隔壁が雌の非生産性に寄与するというエビデンス(Cunliffe-Beamer T、Lab Anim Sci、1976)があるにもかかわらず、2022年に実施された繁殖研究では、繁殖生産性への影響は最小限であることがわかりました。BALB/cマウスは、ジストロフィー性心臓石灰沈着症 (心臓組織の石灰化) にかかりやすい素因を持ってます。ジャクソン研究所から入手したBALB/cByJおよびBALB/cJマウスを使用した、Dr. Steven Taffetの研究室による研究では、BALB/cByJマウスは、BALB/cJ(1/6、5週齢で17%)または他のBALB/c亜系統より頻繁かつ重度のカルシウム沈着(44/49、5週齢で90%)を示したことが報告されています。[Glass et al. 2013 Comp Med 63: 29 (PMID:23561935)]。

マウスは、特に性器周辺に黄味の毛色を示すことが多く (おそらく排尿による染みの結果)、老齢のマウスではこの毛色も顕著で、局所的な脱毛を伴うことがあります。


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